ラズベリーケトンについて:あるある健康大百科「ダイエット編」

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ラズベリーケトンについて

ラズベリーケトンとは

 ラズベリーの香り成分「ラズベリーケトン」が注目されるに至った経緯は,カネボウの女性研究員がラズベリーケトンと唐辛子の辛み成分カプサイシンの分子構造が似ていることに気がついたことです。その後細胞レベルの試験ではカプサイシンの3倍の脂肪分解効果があることが分かりました(カネボウ研究所)。この成分を配合したダイエット補助食品が「ヴィタロッソ(VITA ROSSO)」(発売・カネボウ)です。

 また,動物を用いた実験では,1%のラズベリーケトンを含む餌を食べさせることによって太りにくくなることが確認され,さらに人間に対する試験では1週間で7割の人が平均600gの体重減少を経験するという好成績をおさめています(同研究所調べ)。

 さらに,ラズベリーケトンを配合したシートを内股に張ったところ,皮下脂肪厚が1ヶ月で5%減ったというデー夕もあり,これらは全て日本薬学会で同社により発表されています。この貼るだけで部分やせが期待できるシート状の商品は「ヴィタロッソボディシート」として同時発売されました。

 正直なところ,学会で効果を発表したということだけでも,まがいものが多いダイエットの世界においては賞賛に値するでしょう。ラズベリーケトンという全く新しい素材を商品化した努力も評価できると思われます。しかし,本当のところ,どれだけ効き目があるのか,その問題点をチェックしてみる必要があります。
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ラズベリーケトンの問題点

 『ラズベリーケトンの細胞内での脂肪分解促進効果が確認されたからと言って,それを摂取することが長期的に見てダイエットにプラスになるのかは分からない』なぜなら,人間の身体は様々な面でフィードバック制御というものが働いていており,外部から体内環境を変えようとする刺激を与えると体内環境を一定に保つために全く逆の機能を強めてしまうことがあります。

 例えばダイエットのために長期的に低カロリーの食事をすると,逆に体は栄養吸収能力を高めたり基礎代謝量を減らしたりして対策をとるため,かえってやせにくい体質になることなどは適応現象という名で広く知られています。

 つまりこれと同じように,もしかしたら脂肪分解を促進する食べ物を食べつづけると,体全体としては逆に脂肪合成を促進する機能を高めてしまいかえって太りやすい体質になってしまうのではないかという疑問が残るのです。
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安全性についてのデータが少ない

 『ヴィタロッソの被験者が全てカネボウの社員であり,あらかじめ脂肪分解機能を高める成分の入った自社製品であることを知らせていた(広報担当)のは,臨床試験として問題がある』

 一般的には,このような商品の臨床試験では,プラシーボ効果という心理的な影響を排除するために実験の目的を教えないか,もしくは全く同じ形状で目的の成分が入ってない偽薬を使い,その成分が実際の効果を発揮したのかをチェックしなければなりません。

 ところが,それが全くなされていないどころか,社員にあらかじめ目的を教えて行った実験では,プラシーボ効果以前に,愛社精神などが無意識のうちに働いて臨床結果に影響を及ぼしかないことを完全否定できる条件に欠けるなど,科学的な再現性という点でも疑わしさが残ります。また,人前で毎週体重測定をやるというだけでも女性の多くには,やせることへの心理的な圧力がかかってきます。それを差し引くと実際の効果はどれくらいなのでしょうか。結局この臨床試験では本当に商品に有効性があるのか疑問を持たざるを得ません。

もし本当に食べるだけで体重が減少する商品であれば,それはその時点で毒性(食べ続ければ死ぬ可能性)のある物質であるのに,過剰摂取に関する注意 書きもなく,安全性に関するデータも全くと言っていいほど示されていません。

 特に脂肪は体温調節やホルモンバランスの維持,神経組織の膜をつくったりするのに不可欠な物質なので,本当にラズベリーケトンが脂肪を分解するのであれば,生命の維持に致命的な障害をもたらす可能性すら否定できない物質です。

 これがヴィタロッソに対する疑問点ですが,実はこれらのことは,ほとんど全てのダイエット食品が抱える問題なのです。
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