食事系ダイエットの様式:あるある健康大百科「ダイエット編」

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食事系ダイエットの様式

食事系ダイエットの様式

 食事系ダイエットには大きく分けて「二つの流儀」があります。一つは,マイナーモデルチェンジ(改善型),もう一つは,フルモデルチェンジ(改革型)です。

 食事系ダイエットのフルモデルチェンジ(改革型)とは,普段食べている食事を根底から変えることによりダイエットを成功させようとする試みをいいます。例えば毎回の食事のうち数回を,完全にダイエット補助食品に変えてしまうダイエットなどは,根本的に食生活を変えてしまうという点でフルモデルチェンジ(改革型)のダイエットといえます。また,普段はそうではない人がダイエットのためにベジタリアンになってしまうというのもこのフルモデルチェンジです。

 一方,普段の食事内容はできるだけ変えずに,例えば,コーラならカロリーの低いダイエットコーラに変えたり,ふだん使っている調理用の油を身体に脂肪が付きにくいものに変えるなどというのは,食のマイナーモデルチェンジ(改善型)になります。

 また,普段の食事内容を変えずに,栄養吸収を阻害するサプリメントを摂ったり,代謝活動を活発にするサプリメントを摂ったりすることも食のマイナーモデルチェンジといえます。
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知識が乏しい時代の苦労

 マイナーモデルチェンジとフルモデルチェンジの二つを理解する上で,象徴的な歴史的事例がある。それは,明治時代に陸軍と海軍の間で行われた「兵食論争」といわれるものです。明治時代,陸海軍ともに軍の存続を脅かすほどの大問題がありました。それは倦怠,疲労,運動能力の低下を招き,ひどい場合には,心臓麻痺や痴呆症になって死に至る病気,脚気です。

 例えば海軍ではその当時,人員の3割以上が脚気の患者であり,明治15年に軍艦「龍驤」が行った10ヶ月間の遠洋航海では,乗員378名のうち160名以上が脚気を発症し,うち25名が死亡するという惨たんたる状況でした。

 今では脚気はビタミンB1不足で起こることがわかっているので対策は簡単ですが,当時はビタミンが発見される前で,原因がわからずに五里霧中のなかで大論争が行われました。結局,陸海軍ともに,ヨーロッパへの留学経験がある軍医が中心になって脚気対策に乗り出しました。ちなみに,当時の陸軍医代表は森鴎外で,彼は『舞姫』などを書いた文豪として有名ですが,本業は陸軍軍医です。そして,海軍代表は,ビタミンが発見される前から,ビタミン不足の対策を考えた人として後に「ビタミンの父」と呼ばれる海軍医の高木兼寛でした。
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食事の改善への適応

 兵食のフルモデルチェンジを計った海軍と,マイナーモデルチェンジを計った陸軍のどちらが正しかったのかは結論付けられませんが,ダイエットにもこれと似たような問題が起こることが考えられます。

 海軍の高木兼寛は,イギリス海軍の将兵に脚気痛がないことを手がかりにして,兵食の洋風化(パン食・肉食)を推し進めました。つまり,今までの食事内容を根底から変えるという「食のフルモデルチェンジ」を行ったわけです。その結果,「龍驤」の事件からわずか2年後には,兵食改定の試験艦として選ばれた巡洋艦「筑波(つくば)」で,脚気患者をほとんど出さないという大成功をおさめました。

 しかし,問題も多くあり,一つは経費の問題です。食を洋食化した試験艦では,食費が2倍から3倍になったといわれており,また,日頃和食に慣れ親しんでいた兵士たちは,パン食や肉食をひどく嫌い士気の低下を招いたことが知られています。そういう理由で最終的には,海軍では食の完全洋食化は断念され,パンの代わりに原料が似ている麦飯が出されるようになりました。

 一方,陸軍の森鴎外は,兵員の数が海軍の10倍だったこともあって,経費の問題,士気の問題から洋食の導入には極めて消極的で,あくまでもこれまで食べてきた和食の改善にこだわりました。つまり「食のマイナーモデルチェンジ」を狙ったわけです。しかし結果として,脚気問題の対応が遅れ,日露戦争では3万人近い脚気患者を出してしまった話は有名であり,結局,主食である米の精米の精度を下げて胚芽やぬかを残せばいいことに気がつくのに30年近くかかってしまいました。
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ダイエットを実行する前によく考えるべきこと

 食事系のダイエットを行う場合には,次のような点をあらかじめ予測することが,失敗を未然に防ぐために大変役に立ちます。

 ・短期間でやせたいのか,それとも長期計画なのか
 ・さらに自分が行おうとしているダイエット法が,食生活のフルモデルチェンジを要求しているのか,それともマイナーモデルチェンジを要求しているのか
 ・起こりうるストレス
 ・取り組むための費用としてどれくらいかかるのか

 「やせる,やせる」と洪水のように宣伝するダイエット食品に冷静に対処するために,食事系ダイエットには大きく分けて二つの流儀があることを心に止めておいたほうがよいでしょう。

 ダイエット補助食品を使ったり,完全に食事内容を変えるダイエット法など,食のフルモデルチェンジを行うダイエットは,非常に効果的な方法ですが,経済的負担が大きくなることが予想されます。また,日々の食事は栄養補給という点の他に「楽しみ」という要素があるために,その楽しみを減らしてまで補助食品を食べるというのは,ストレスを誘発し長続きさせることが困難である場合がほとんどです。

 逆に,普段の食事内容をあまり変えずに,ダイエット用のサプリメントを摂ったり,カロリーの低い代替食品にかえるという食のマイナーチェンジは,ストレスは少ないので長続きしますが,一般的に効果は低いとされます。
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